コラム


「ホスピタリティの現れ方 古今東西」 

少し前のこと。3月末、ノルウェー沖で大型豪華客船が航行不能になり、ニュースでその時の大きく揺れ傾く船内の様子が映された。エンジン3基が故障、このままいくと座礁の恐れがあるということだった。既に状況の的確なアナウンスがあったのだろう、悲鳴や慌てる乗客の姿は見られず、傾きに呼応してテーブルや椅子が大きく右左に滑る中、乗客は比較的落ち着いているように見えた。日本の客船でもそうだが1,300人ほどの乗客の大半が高齢者だ。素早い行動が苦手であろうが、揺れ動くさまに笑い声さえあった。

ヘリが動員され一人づつ吊り上げられていた。大変な作業だ。多少の怪我人は出た模様だが幸いに皆無事だった。救助された夫婦は「いや~吊り上げられて入ったら、‘ようこそ’と言われたよ」と 嬉しそうな顔で話した。多分サンキューと言っただろう。

翻って、日本ではどうだろう・・・自衛隊ヘリに救助されても、規律にがんじがらめになっている隊員は「ようこそ!」の冗談一つ言えるだろうか。一方で、救助された側は‘不謹慎な!‘と思うのが大半だろう。世間もである。笑顔くらい出して‘もう安心ですよ。’と迎える余裕、受ける方も重篤でない限り、救助を労う心があれば良いのだが。

場面変わり、バリ島でのこと。
南国情緒溢れるエキゾテイックなホテルに宿泊した。ドアマンが民族衣装で迎えてくれ、写真を一緒に撮ろうとした時に、驚くことに彼は躊躇なく背中に手を回してポーズを撮った。バリ式‘あなたを歓迎していますよ’の歓待の表現なのだろうか。日本では考えれれない光景だが、南国の花々に溢れた前庭と開放的なリゾートホテルの佇まいに実に溶け込んだ一瞬、和やかな良い思い出となった。

これも、日本のホテルではありえないことであろう。
目を合わせず下向いていらっしゃいませと挨拶するのが普通であろう。温泉旅館ではまだ、にこやかに さあさあ、とばかりに出迎えてくれるが、ホテルは押しなべて ただ、律儀に頭下げるだけの印象である。その瞬間では温かさも何も感じられない。

国民性といえばそうだが、私達は日本式に慣れすぎていて、サービスをする側も受ける側もホスピタリテイのやりとりが下手である。

H.N.